<一筆>県庁時代の思い出(新聞連載コラム#09)
<熊本日日新聞 | 2023年3月7日>
私は1991年4月に熊本県庁に入り、2004年3月末に退職しました。そのうち4年間は外務省に出向したので、県庁に勤務したのは9年間です。球磨事務所総務振興課、土木部河川課、環境生活部環境政策課環境立県推進室でそれぞれ3年間勤務しましたが、思い出深いのは河川課です。
河川課は河川や海岸の管理や整備、ダムの建設や維持管理などを所管し、私は河川課全体の予算編成や決算を3年間担当しました。着任当初は複雑な手順に戸惑うことも多く、前任者や技術系職員に助けられながら業務をこなしましたが、おかげで数字に強くなりました。企業の財務会計の習得が早かったのも河川課勤務のおかげです。
同僚の技術系職員は皆非常に優秀で、河川改修の現場や県が管理するダムに同行させてもらい、河川行政の「いろは」を教わりました。県庁を退職する際に彼らが送別会を開いてくれたのも良い思い出です。土木部で苦楽を共にした事務系職員とは今も仲良くしています。
97年2月下旬だったと思いますが、河川課長から外務省出向の打診がありました。国際職で入庁し、以前から海外勤務を希望していたので、ぜひお願いしますと即答。数日後、課長から知事室を訪問するよう指示があり、おそるおそる部屋に入ると福島譲二知事と潮谷義子副知事が私を待っていました。
福島知事は外務省出向と米国勤務を命じる辞令を私に手渡し、その時初めて米国に赴任することを知りました。期待と不安が入り交じり、とても複雑な気持ちになりました。
本記事は、2023年1月~3月にかけて熊本県の地方紙「熊本日日新聞」に連載された弊社社長のコラムをアーカイブとして掲載しております。